住宅ローンフラット35の子育て支援型と地域活性化型とは?

フラット35

 

住宅を購入する人のほとんどは住宅ローンを利用することになりますが、そこで必ず検討材料の一つになるのが「長期固定金利型住宅ローン」の「フラット35」です。

 

住宅ローンのフラット35とは?

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関のタイアップによって提供されており、「35」という名前が示すように、最長35年間の固定金利となっています。

 

金利は1.09%(返済期間21年以上、融資率90%以下の場合、2017年7月時点)と低水準で固定されるため、インフレによる将来の金利上昇の懸念を払しょくできます。

 

また、一般的な住宅ローンでは繰上返済をしたり、返済方法を変更したりすると手数料を取られますが、フラット35ではそのような手数料が不要です。

 

フラット35に子育て支援型と地域活性化型が新設

2017年4月の制度改正によって、そのフラット35に「子育て支援型」と「地域活性化型」が新設されました。

 

この制度の骨子は「子育て支援、UIJターン、コンパクトシティ形成の施策を実施している地方公共団体と住宅金融支援機構が連携し、地方公共団体による財政的支援とあわせて、フラット35の金利を引き下げることにより、地方創生等を促進する」というものです。

 

子育て支援型とは?

フラット35子育て支援型は「ニッポン一億総活躍プラン」や「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」などに盛り込まれた地方創生方針のもと、子育て支援策を実施する地方公共団体が住宅金融支援機構と提携し、フラット35の金利の引き下げに対し支援します。

 

●金利の引き下げ
当初の5年間、0.25%の金利の引き下げが行われます。

 

●支援要件
自治体から「フラット35子育て支援型利用対象証明書」の交付を受けなければなりません。証明書の交付を受けるための要件は、各自治体の事業内容によって異なります。

 

●支援対象住宅
以下のいずれかに該当することが条件です。

  • 若年子育て世帯が住宅を取得する(中古住宅に限定)。
  • 若年子育て世帯と親世帯が同居または近居するための住宅を取得する。

若年子育て世帯が住宅を取得する場合は支援対象が中古住宅に限定されます。

 

●フラット35Sとの併用
フラット35には耐震性や省エネ性など、住宅が一定の性能を満たすと当初5年間または10年間の金利が引き下げられる「フラット35S」という制度がありますが、子育て支援型対応物件がフラット35Sの基準も満たしている場合はフラット35Sとの併用ができます。

 

子育て支援型の0.25%の割引に、フラット35Sの0.3%の割引が加わり、当初の5年間は0.55%の割引になります。

 

従って、現在の1.09%から0.55%が引かれ、0.54%の金利になります。仮に、3,000万円を35年返済で借り入れたとすると、子育て支援型・地域活性化型の単独利用で約38万円、フラット35Sとの併用利用で約84万円の返済額が軽減されます。

 

地域活性化型とは?

以下のいずれかに該当すると、支援が行われます。

  • UIJターン*を目的として、住宅を取得する。
  • コンパクトシティ形成*に即する形で、自治体が設けた居住誘導区域*内に住宅を取得して移住する。

 

*UIJターン:大都市圏の居住者が地方に移住することの総称であり、地域活性化とともに空き家解消へも資することになります。
*コンパクトシティ形成:拡散した都市機能の集約化によって歩いて暮らせる集約型まちづくりの実現を目指すことで、生活圏の再構築を進めていくものです。
*居住誘導区域:自治体が居住を誘導すべき区域として定めたものです。

 

なお、支援の内容、条件は子育て支援型と同様です。

 

フラット35における保証システムの変更

住宅ローンを契約する際には通常、連帯保証人を立てたり、保証会社への保証料が発生したりしますが、過去、フラット35では保証人も保証料も必要ありませんでした。

 

しかし、2017年10月よりフラット35における団信(団体信用生命保険)の扱いが変わります。

 

民間金融機関と同じく団信への加入が必須となり、フラット35の金利に保険料が上乗せされます。ただし、保険料はフラット35とは別に保険へ加入するよりも割安になります。

 

「子育て支援型」、「地域活性化型」は金利の点で非常にお得な制度であり、該当する住宅を購入する場合は絶対に利用すべきです。

 

なお、子育て支援型、地域活性化型の支援を受けるにはこの制度と連携している自治体かどうかの確認が必要です。2017年7月時点で対応しているのは78の自治体です。